節句は日常生活で一般的に使われている言葉ですが、「節句」という字を使うようになったのは江戸時代になってからなのだそうです。
それ以前は「節供」と書きました。「季節をお供えする」という意味です。季節の食べ物を神に捧げる特別な日。そもそもは神様と人が一緒に食事をする日だったそうです。
さて、食卓についてやさしく学ぶこのコーナーでは、来年も二十四節気や七十二候など、歳時記にまつわるあれこれを話題に取り上げていきたいと思います。
正月も人日の節句も年初めの行事です。
一月一日は正月。門松を立て、しめ縄を飾り、鏡餅を飾って祝います。七日が人日の節句です。さて、一の重なる一月一日はなぜ人日でないのでしょうか?正月と人日、この2つはどう違うのでしょうか?
人日は奇数が重なる日である五節句のひとつです。五節句は一月七日のほか、三月三日、五月五日、七月七日、九月九日と、奇数を重ねた日となっています。奇数はおめでたい数のはずですが、二つも重なるのは過ぎることと、昔の人は考えました。節句には神様と食事をともにし、陰に転じないように祈念したのです。
本来は一月一日が奇数が重なる日ですが、月の満ち欠けをもとにした旧暦では必ず新月です。月がない日だし、年の初め、ということから、一月七日が人日になったのだそうです。季節は陰から陽への分岐点となります。健康を祈り、七にちなんで七種の若菜を入れた粥を食べる風習が七草粥です。